自分の事業|クリエイターを獲得する
この章の狙い
要点: 獲得は才能ではなく順番である。誰に声をかけるかを決め、相手の穴を先に特定し、認知を作ってから送る。この三つを飛ばした人だけが「営業が苦手」で止まる。
ここからは、自分の事業の話に戻る。前の章までで自分の商品と報酬の形が決まった。次は相手を見つける工程だ。
多くの人がここで止まる。理由は能力ではなく、やることが決まっていないからである。 「営業しなければ」と思った瞬間に、何を言えばいいか分からなくなる。当然で、 声をかける相手も、話す中身も、送る前にやっておくことも、何ひとつ決まっていない状態で いきなり口を開こうとしているからだ。
この章では、それを五つの段階に分けて全部決める。決まってしまえば、あとは実行するだけになる。
- 📘 アウトリーチ:こちらから相手に接触して働きかけること。相手から来るのを待つ「インバウンド」の反対語。
獲得は五段階でできている
いきなりDMを送るのが最大の失敗である。順番があり、前の段階が終わっていないと次が機能しない。
⚡ 獲得の五段階
- ターゲット選定 — 誰に声をかけるかを条件で決める
- ファネル監査 — 送る前に相手のビジネスの穴を特定する
- プロフィール最適化 — 自分のアカウントを整える。必ず見られる場所だから
- アウトリーチ — 認知を作ってから、動画で送る
- 商談・成約 — 診断してから提案する(次章)
この五つのうち、多くの人がやるのは4だけである。1から3を飛ばして4をやると、 「誰に何を言えばいいか分からない」状態でDMを書くことになる。苦手意識の正体はここにある。
逆に言えば、1から3を済ませておけば4は作業になる。相手は決まっていて、 指摘する穴も特定できていて、自分のアカウントも整っている。あとは録画して送るだけだ。
誰に声をかけるか|三つの条件
条件は三つある。この三つが揃ったアカウントが、自分が入ることで最も数字を動かせる相手になる。
| 条件 | 中身 | なぜこの条件か |
|---|---|---|
| ① 規模 | フォロワー数が一定の帯に入っている | 大きすぎると競合がいる。小さすぎると母数が足りない |
| ② ジャンル | 教育系・ビジネス系(副業・マーケティング・英語・自己成長など) | お金の動きが明確で、成果が数字で見える |
| ③ 改善余地 | 伸びているのに商品設計や導線が整っていない | 自分が入ることで売上が直接動く場所がある |
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②の理由をもう少し具体的に書く。趣味系や日常系のアカウントは、 フォロワーが多くても「何を売るか」が決まっていないことが多い。 そこから商品設計を始めると時間がかかり、成果が出るまでに契約期間が終わる。 教育系は最初から「教える」という商品の形を持っているので、 導線を整えるだけで数字が動く。成果が早く出る場所を選ぶ、という条件である。
なぜ上限があるのか|競合で決まる
フォロワーが多いアカウントほど、既にビジネス側の相棒がいる確率が上がる。
世界的なクリエイターには必ず裏方がいる。ジャスティン・ビーバーにはスクーター・ブラウンが、 レブロン・ジェームズにはマーベリック・カーターがいた。才能がある人ほど、 ビジネスを回せる人間を先に確保している。
だから上限は「自分の実力の上限」ではなく「席が空いているかどうか」で決まる。 実績のない状態で大きなアカウントに送っても、既にいる相手より良い提案を出せなければ席は空かない。
なぜ下限があるのか|母数で決まる
下限は計算で出る。販売の導線は「人数 × 転換率」でしか動かないからだ。
- 📘 転換率:ある段階から次の段階へ進んだ人の割合。100人見て2人がDMを送れば2%。
契約後に追う数字(第7部で詳しく扱う)を使って逆算するとこうなる。
| 段階 | 転換率の目安 | フォロワー1,000人なら | フォロワー10,000人なら |
|---|---|---|---|
| プロフィール → DM | 1〜2% | 月10〜20件 | 月100〜200件 |
| DM → 面談予約 | 20〜30% | 月2〜6件 | 月20〜60件 |
| 面談予約 → 実施 | 90〜100% | ほぼ同数 | ほぼ同数 |
| 面談 → 成約 | 40〜50% | 月1〜3件 | 月8〜30件 |
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30万円の商品なら、1,000人の月商は30〜90万円。自分の取り分が20〜40%なら6〜36万円になる。 不可能ではないが、一件で生活は成り立たない。10,000人なら桁がひとつ変わる。
⚠️ この表の前提について
- 講義原本には「プロフィール文 → DM 1〜2%」とあるが、何に対する1〜2%かは書かれていない。
- フォロワー数に対する割合なのか、プロフィールに到達した人数に対する割合なのかで、結果は大きく変わる。
- 到達数に対する割合だとすれば、実際の件数はもっと少なくなる。上の表は「フォロワー数に対する割合」として計算した楽観側の数字だと理解しておく。
- 契約したら、まずこの数字の定義をクライアントと揃えること。定義が違うまま報告すると話が噛み合わない。
実績の段階で、狙う帯を変える
原本には二つの数字がある。GOA本編は5,000〜100,000人、旧版ガイドは1,000〜50,000人。 これは矛盾ではなく、違う熟練度を前提にした別々の答えである。上限は競合で決まり、 下限は母数で決まる。この二つの原理に自分の実績を掛けると、狙うべき帯が一本に決まる。
| 自分の状態 | 狙う帯 | なぜその帯か | 報酬の目安 |
|---|---|---|---|
| 実績ゼロ | 1,000〜5,000 | 競合がまずいない。相手も失うものが少ないので試してくれる。穴が大きいぶん直した効果が数字に出やすい | ほぼ無償〜数万円 |
| 実績1〜2件 | 5,000〜30,000 | 二つの原本が重なる本命帯。商品があり、投稿に熱量があり、導線だけが無い状態が最も多い | 月5〜20万円 |
| 実績3件以上 | 30,000〜100,000 | 既に相棒がいる確率が上がる。入るには「今より良い」提案が要る | 月20〜50万円 |
| 仕組みができている | 100,000〜 | ほぼ体制がある。十四の職域から一つを切り出して入る形になる | 職域単位の契約 |
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実績ゼロの段階で1,000〜5,000人を狙うのは、金を取るためではなく事例を作るためである。 報酬は小さいが、最初の一件が終われば次からの帯が一段上がる。順番を飛ばして いきなり50,000人に送り続けても、返事が来ないまま時間だけが過ぎる。
ファネル監査|送る前に穴を特定する
送る前に相手のビジネスを調べる。この工程が、返信率を決める。
- 📘 ファネル:見込み客が「知る → 興味を持つ → 買う」と進んでいく流れ。上が広く下が狭いので漏斗(じょうご)に例える。
- 📘 ファネル監査:相手のファネルを外から見て、どこで人が止まっているかを特定する作業。
見るのは三点だけでよい。
| 見る場所 | よくある問題 | それが意味すること |
|---|---|---|
| ICPとオファーの明確さ | プロフィールにも投稿にも、次に何をすればいいかの指示がない | 誰に何を売るかが決まっていない。興味を持った人が次へ進めず、そこで消える |
| 導線 | リンク切れ、誘導が弱い、無料の入口が無い | 気づかないまま放置されていることが多い。指摘されて初めて分かる種類の穴 |
| 商品単価 | 3万円以下の商品しかない、または商品が無い | 高単価の商品を設計する余地がある。ここが最も大きく数字が動く場所 |
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- 📘 ICP:Ideal Customer Profile。理想の顧客像。「この一人に売る」と決めた具体的な人物像のこと。第8部で詳しく扱う。
監査が信頼を生む理由
この三点を見てから送ると、DMの中身が変わる。 「一緒にお仕事しませんか」ではなく、「プロフィールのリンクが切れていて、興味を持った人が全員そこで止まっています」と言えるようになる。
相手からすると、自分のビジネスを実際に見た人からの連絡になる。 これは「テンプレートを一斉送信している人」との差が一目で分かる。 時間をかけて調べた事実が、そのまま信頼の材料になっている。
⚠️ 監査でやってはいけないこと
- 「もっと良くできます」と抽象的に言う。何をどう良くするのかが無いと、ただの売り込みになる。
- 相手を否定する書き方をする。「ここがダメです」ではなく「ここで損失が出ています」と、事実として置く。
- 三点全部を指摘する。一番大きい穴を一つに絞る。複数言うと、どれも軽く聞こえる。
自分のプロフィールを整える
アウトリーチを送ると、相手は必ず送り主のプロフィールを確認する。 ここが整っていないと、どれだけ良い内容を送っても信頼されない。
⚡ 自分のアカウントに要る三点
- 顔写真 — 匿名アカウントからのDMは信頼されない。判別できる顔写真を置く
- 専門家プロフィール文 — 何ができる人かが一目で分かること。肩書きではなく、提供できる結果で書く
- Metaバッジ(認証バッジ) — あると信頼度が大きく上がる。取れるなら取っておく
ここで混同しやすいので分けておく。この節は自分のアカウントの話である。 クリエイターのプロフィールをどう作るかは別の話で、そちらは第9部で扱う。 目的が違うので、必要なものも違う。自分のプロフィールは「この人に任せて大丈夫か」を判断される場所、 クリエイターのプロフィールは「フォローしたら自分はどうなるか」を伝える場所になる。
いきなり送らない|認知を先に作る
見ず知らずの相手からのDMは、開かれずに流される。だから送る前に 「あ、この人だ」と思われる状態を作っておく。同じ文面でも、送る前の状態が数字を作っている。
| 認知が生まれない行為 | 認知が生まれる行為 | |
|---|---|---|
| 反応 | いいねだけ押す | 内容に踏み込んだコメントを残す |
| 通知 | 通知に残らない | ストーリーに一言添えて反応する。通知に残る |
| 回数 | 一度きり | 三〜四回積み重ねる |
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コメントは「すごいです」では届かない。どの投稿の何が、どう効いたのかを書く。 さらに実践して結果を報告できると、相手の中での扱いが変わる。
期間は日数ではなく回数で数える
ここも原本に二つの数字がある。GOA本編は「三〜五日前から接触」、旧版ガイドは「一〜二週間、反応三〜四回」。
接触回数で見れば矛盾しない。 相手の投稿頻度が高ければ三日で四回反応できるし、 週二回しか投稿しない相手なら二週間かかる。日数ではなく回数を基準にするのが実際的である。
運用の目安は、週に10〜20アカウント、それぞれに三〜四回の反応。 名前・ジャンル・フォロワー数・状況を表で管理する。頭で覚えようとすると必ず抜ける。
獲得経路は五つある
新規クライアントは「営業がうまい人」が獲るのではない。 相手が自分から話したくなる状態を先に作れる人が獲る。
01から04がこちらから動く経路、05だけが相手から来る経路である。
- 📘 アウトバウンド:こちらから相手に接触する経路。DM、Loom、紹介依頼など。
- 📘 インバウンド:相手から問い合わせが来る経路。発信を続けることで生まれる。
どれが優れているかではなく、フェーズに応じてどう並行させるかで決まる。 片方に寄せると、量が出ないか、時間だけがかかるかのどちらかになる。
生徒ポジションDM|教わりに行く
営業しに行くのではなく、教わりに行くスタンスで入る。 人は自分の話を聞いてもらえると心を開く。その心理をそのまま使う。
最初のDMでサービスの話をしないのは、我慢しているのではなく順番の問題である。 相手が課題を言う前に解決策を出すと、押し売りになる。逆に相手が自分で課題を言えば、 こちらは「そこ、自分の領域です」と返すだけで済む。
- ターゲットを選ぶ — 前節の三条件で絞る。すでに商品を持ち、投稿に熱量がある人
- 質問だけを送る — 「指導って、どんな方をメインに教えてるんですか」。絶対にサービスの話をしない
- 会話を深掘りする — 集客や収益化へ話を広げ、相手の課題を自然に引き出す
- 提案に移行する — 「実は集客が弱くて」と出た瞬間に「そこ、自分の領域とドンピシャで」と返す
課題は聞き出すものではなく、相手が自分から言い出すものだ。そこまで待てば売り込みは要らない。
| 効くところ | 崩れるところ | |
|---|---|---|
| 成約 | 相手が自分で課題を言うので話が早い | 途中でサービスの話を出すと一気に冷める |
| 印象 | 押し売り感がゼロになる | 会話を誘導する力が要る |
| 量 | — | 一日10〜20件が現実的な上限 |
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この手法は量が出ない。単体で回しきろうとせず、必ず他の経路と並行して動かす。 主力ではなく「確度を上げる型」として持つ。
この型に違和感があるなら、それは正しい
原本どおりに読むと、この型には引っかかりが残る。 「教わりに行く」と言いながら、実際には売る相手を探しているからだ。
その違和感は経験不足ではない。型の構造をそのまま読み取っているだけである。 場数を踏めば消えるものでもない。むしろ、回数を重ねるほど蓄積する。
引っかかりの正体は一点に絞れる。転換点である。 相手が「実は集客が弱くて」と言った瞬間に「そこ、自分の領域です」と返す。 このとき相手の側では、それまでの質問が全部そのための布石だったことが同時に分かる。 善意で教えてくれていた相手ほど、この瞬間の落差が大きい。
もうひとつ、この型は同じ講義の前の工程と矛盾している。 アウトリーチの前にファネル監査をやれ、と書いてある。監査を済ませているなら、 相手の問題はもう特定できている。それなのに「どんな方に教えてるんですか」と 初めて知るように聞くのは、事実に反する。
名乗ってから、同じ質問をする
解決は簡単で、最初の一行だけを変える。聞く内容は一切変えない。
⚡ 名乗ってから聞く形
- 立場を明かす — 「SNSの収益設計をしている者です」の一行を先に置く
- なぜ連絡したかを言う — 監査で見つけたことを一つだけ添える
- 質問する — ここから先は生徒ポジションと同じ。相手の事業について聞く
- 相手が課題を言う — 転換点が存在しないので、落差も生まれない
| 原本の生徒ポジション | 名乗ってから聞く | |
|---|---|---|
| 最初の一通 | 質問だけ。立場を伏せる | 立場を明かしてから質問する |
| 聞く内容 | 同じ | 同じ |
| 転換点 | 「実は集客が」で正体を明かす | 転換点が存在しない |
| 返信率 | 高い | 下がる |
| 返信の中身 | 教え方の話が返ってくる | 事業の話が返ってくる |
| 自分の側に残るもの | 引っかかりが残る | 何も残らない |
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返信率は確かに落ちる。売る側だと分かっている相手には返さない人がいるからだ。 だが返ってきた相手は、最初から事業の話ができる相手に絞られている。 教え方の話から始めて事業の話まで持っていく手間が丸ごと消えるので、 一件あたりにかかる時間で見ると差は小さい。
そしてこれは、後の章で扱うセールスの前提と直結している。 「自分が本当に助けられる人だけを相手にする」「断られても問題ない、合わなかっただけ」 という立場を取るなら、全員を成約させる必要がない。必要がないなら、隠す必要もない。
隠す型が要るのは、母数の全員を口説かなければ数字が足りないときだけである。 そこまで追い込まれていないなら、名乗ったほうが早い。
⚠️ どちらを選ぶにせよ、これはやらない
- 名乗らずに始めて、途中で「実は」と切り出す。最も落差が大きく、信頼が一度で消える。
- 監査で分かっていることを、知らないふりをして質問する。相手が答えた内容と自分の言うことがずれた瞬間に見抜かれる。
- 相手の答えを聞かずに次の質問に移る。教わる姿勢が形だけだと、口調でわかる。
一通目の文例
言葉づかいは自分に合わせて変えてよい。構造だけを写す。
原本どおりの生徒ポジションだと、こうなる。
「はじめまして。〇〇さんの投稿、いつも拝見しています。とくに先週の『初心者がやりがちな三つ』の回で、順番の話をされていたのが刺さりました。自分も似た領域を勉強中で、ひとつ伺いたいのですが、指導って、どんな方をメインに教えられてるんですか。」
名乗る形にすると、変わるのは二行目だけである。
「はじめまして。SNSの収益設計をしている〇〇と申します。〇〇さんの投稿を拝見していて、ひとつ気づいた点があったのでご連絡しました。プロフィールのリンク先が現在つながらない状態になっていて、投稿から興味を持った方が全員そこで止まっているように見えます。差し支えなければ伺いたいのですが、いまは主にどんな方に向けて発信されていますか。」
後者は、名乗り・連絡した理由・監査で見つけた事実・質問の四つが入っている。 どれも一文ずつで、全部で五行に収まっている。
⚠️ 一通目でやりがちな失敗
- 「勉強になりました」だけを送る。どの投稿の何が効いたのかが無いと、誰にでも送れる文になる。
- 長い自己紹介から始める。相手はまだ興味を持っていないので、経歴は読まれない。
- 質問を三つ以上並べる。答えるのが面倒になり、返信率が落ちる。聞くのは一つでいい。
- 一通目でサービスの説明をする。名乗るのと売り込むのは別のことである。
絡んでからDM|先に「知ってる人」になる
前節の「認知を先に作る」を、そのまま経路として使う型である。 完全に知らない相手からのDMと比べて、返信率が三〜五倍変わる。
送るときは「先日の投稿、めちゃくちゃ刺さりました」から入る。 相手はコメントの人だと認識しているので、ここで説明が要らない。 あとは生徒ポジションと同じで、質問から会話を深める。
絡みは前置きではなく下ごしらえである。ここに時間を使うほど、DMの一通目が軽くなる。
紹介は信頼の転送である
紹介とは、AがBに信頼をそのまま渡す行為だ。だから成約率は70〜90%と、全経路の中で最も高い。 信頼を積む工程が丸ごと省略されるので、いきなり最後の段階から始まることになる。
にもかかわらず、多くの人がこの経路を偶然に任せている。 紹介は運ではなく、言うタイミングと理由を設計した人にだけ起きる。
- 言うタイミング — 成果が出た直後、感謝を伝えられた瞬間。この一点で切り出す
- 言い方 — 「周りで同じように悩んでる方いたら、気軽に紹介してもらえると嬉しいです」
- 動く理由を用意する — 紹介一件につき次月無料、キャッシュバック、特典追加など
- 既存を大切に扱う — 月一回は近況を聞き、許可を得て成果を紹介する
前提は既存クライアントの満足度である。成果が出ていない相手に紹介を頼んでも動かない。 そしてスケールに限界があるため、メインの獲得手法にはなれない。
多くの人は「紹介してください」が言えずに終わる。言わないことが最大の損失である。
Loomメソッド|二種類を使い分ける
- 📘 Loom:画面を録画しながら自分の声で説明できるツール。録画すると共有リンクができ、相手はアプリを入れずに見られる。
テキストでは伝わらないものが二つある。リアリティと熱量である。 相手の画面を実際に映しながら「ここです」と指させることと、 声のトーンで自信を伝えることは、文字ではできない。
型は二つあり、実績の段階で使い分ける。
| カスタムLoom | エバーグリーンLoom | |
|---|---|---|
| たとえ | 狙撃銃 | 散弾銃 |
| 中身 | 特定の一人のために録画する。相手のファネルを画面に映して欠陥と改善案を個別に解説 | 自分の実績や仕組みを一般化した内容。誰が見ても価値がある形にする |
| 個別化 | 全部 | 冒頭とサムネイルだけ |
| 量 | 一日数件 | 一日50〜100件 |
| いつ使うか | 実績がないうちはこちら。信頼構築において最も強力 | 実績ができてから並行させる |
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- 📘 エバーグリーン:時間が経っても価値が落ちず、使い回せる状態のこと。「常緑樹」が語源。
カスタムLoom|1分30秒の台本
忙しいクリエイターは、見ず知らずの人間からの長い動画を見ない。 1分30秒以内に、次の五つを詰め込む。
⚡ カスタムLoomの五パート
- フック&エゴ・ストローク — 相手の具体的なコンテンツを褒め、警戒心を解く
- 問題の指摘 — 相手のページを画面に映しながら、数字で具体的に指摘する
- 解決策の提示 — 解決した後にどうなるかを具体的に示す
- 機会損失の強調 — 放置した場合に失うものを明確にする
- CTA — 「10分だけお話しできますか」と面談へ誘導する
- 📘 エゴ・ストローク:相手の自尊心を満たす言葉かけ。ここでは「いつも見ています」「ブランドが素晴らしい」など、本題に入る前に警戒を解く役割を持つ。
- 📘 CTA:Call To Action。次に何をしてほしいかを具体的に指示すること。
2番の「数字で」が効く理由は、具体性がそのまま専門性の証明になるからだ。 「改善できます」は誰でも言える。「ここで毎月これだけ失っています」は、 実際に見た人にしか言えない。前節のファネル監査が、ここで台本の材料になる。
台本の実例
1分30秒を五つに割ると、一つあたり15〜25秒になる。実際に読むと、この長さになる。
00:00〜00:15|フック&エゴ・ストローク 「〇〇さん、はじめまして。△△と申します。先週の『三ヶ月で結果が出る人の共通点』の回、構成が本当に上手くて三回見ました。今日は一点だけ、気づいたことをお伝えしたくて画面を録っています。」
00:15〜00:45|問題の指摘(画面を映しながら) 「いま〇〇さんのプロフィールを開いています。ここにリンクがあるんですが、押すとページが表示されない状態です。投稿の反応数から見ると、プロフィールには月に千人前後が来ていると思います。そのうち一〜二%がリンクを押すとして、月に十〜二十人。その全員が、ここで止まっています。」
00:45〜01:05|解決策の提示 「やることは二つだけです。リンク先を直すことと、その先に無料で受け取れるものを一つ置くこと。別のクリエイターさんで同じ状態を直したときは、一ヶ月で問い合わせが〇件から〇件に変わりました。」
01:05〜01:20|機会損失の強調 「逆に言うと、このまま置いておくと、毎月十〜二十人の『いちばん興味を持った人』が、名前も分からないまま消えていきます。発信の量を増やしても、ここが塞がっている限り増えるのは通過人数だけです。」
01:20〜01:30|CTA 「直し方を具体的にお話ししたいので、10分だけお時間いただけませんか。このメッセージに『はい』とだけ返していただければ、こちらから日程をお送りします。」
⚡ 台本を書くときの決まりごと
- 数字は必ず自分で確認したものを使う。投稿の反応数、リンクの状態、商品の価格は全部見られる
- 推測を使うときは推測だと言う。「〜だと思います」と付ければ嘘にならない
- 指摘する穴は一つに絞る。三つ言うとどれも軽くなる
- CTAの返事のハードルを最小にする。「はい、とだけ返してください」まで下げる
⚠️ 台本が効かなくなる書き方
- 褒める部分が抽象的。「素晴らしいです」は、見ていなくても言える
- 問題の指摘に数字が無い。「もったいないです」だけだと、根拠が無い感想になる
- 解決策を全部話してしまう。全部話すと面談する理由が消える。方向だけ示して止める
- 機会損失を煽りすぎる。「このままでは終わります」は、脅しに聞こえて逆効果になる
エバーグリーンLoom|量を打つ
録画した動画を使い回し、冒頭だけを個別化して量を打つ。 使い回しは悪ではない。冒頭だけを変えれば、量とパーソナル感は両立する。
| 時間 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 10秒 | 自己紹介 | 誰なのかを最短で示す。長い前置きは全部切られる |
| 20秒 | なぜ送ったか | 相手を選んだ理由。ここが弱いと一斉送信だと見抜かれる |
| 30秒 | 実績 | 最も長く取る。この経路は実績に重心を置いて成立する |
| 10秒 | CTA | 行き先を一つに絞る。面談か返信か、どちらか |
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全体で1〜2分。テキストと組み、「拝見して気になったので短い動画にまとめました」とリンクを添えて送る。
一日50〜100件送れて、テキストのDMより開封も返信も高い。 ただし動画の質が低いと逆効果になる。量の前に質を固める。
⚠️ 二つの型を混ぜない
- カスタムのつもりでテンプレートを読み上げると、個別化されていないことが逆に目立つ。
- エバーグリーンのつもりで長く作り込むと、量が出せず利点が消える。
- 実績がない段階でエバーグリーンから始めない。実績が中身の大半を占める型なので、語る材料が無い。
返信が来ないときにやること
返信がないのは、多くの場合指摘が具体的でなかったか、自信が伝わらなかったかのどちらかである。 一回の無視で諦めない。
① 通知に届く場所を変える
Instagramの「親しい友達」に相手を追加し、そのストーリーで相手をタグ付けする。 DM一覧に埋もれず、通知が確実に届く。動画のリンクをストーリーに貼る形にする。
② 問題を出し直す
前回より具体的なボトルネックを指摘して送り直す。決済ページからの離脱、 広告の無駄打ちなど、より深い場所を指す。タイトルも「今週これだけ損失が出ています」のように、 金額が入った形に変える。音声メッセージで肉声を届けるのも効く。
③ 頻度を決めて続ける
毎日一回以上のフォローアップを、期限を決めて続ける。ただし同じ文面を繰り返さない。 毎回、新しい事実を一つ足す。足すものが無くなったら、それは調べ足りていないということになる。
⚠️ フォローアップで壊れるパターン
- 「その後いかがでしょうか」だけを送り続ける。新しい情報がないので、催促にしか見えない。
- 期限を決めずに送り続ける。相手にとって迷惑な段階に入っても気づけない。
- 断られた相手に送り続ける。断りは次の章で扱うが、これは反論処理ではなくただの粘着になる。
三回で組み立てる
期限は三回までと決めておくと、迷わなくなる。毎回、新しい事実を一つ足す。
| 回 | 何日後 | 足す事実 | 文の骨格 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 送信の2〜3日後 | 前回の指摘の続き。数字を一段深くする | 「先日お送りした件、もう少し調べたところ〇〇も同じ状態でした」 |
| 2回目 | さらに3〜4日後 | 別の場所の穴、または他社の事例 | 「似た規模の方で同じ状態を直した例が出たので共有します」 |
| 3回目 | さらに1週間後 | 締める一通。押さない | 「タイミングが合わなければ気にしないでください。必要になったらいつでも」 |
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三回目で終える理由は二つある。ひとつは、四回目以降の返信率がほとんど上がらないこと。 もうひとつは、押し続けた相手とは、仮に契約できても関係が対等にならないことだ。
三回目を「引く一通」にしておくと、その場では返事が来なくても、 数ヶ月後に相手から連絡が来ることがある。押し切った相手は二度と戻らないが、 引いた相手は戻ってくることがある。
親しい友達で一人に届ける
DMは送りつけられた感になるが、親しい友達は選ばれた感になる。 本命候補を一人だけリストに入れ、「あなただけに見せている限定コンテンツ」という形で動画を届ける。
効く理由は四つある。
- 開封率がほぼ100% — ストーリーは流れで見るため、緑のリングは目を引き、DMより圧倒的に見られる
- 限定感が本物になる — 一人に絞るからこそ「自分のために作ってくれた」が最大化する
- 押し売り感がゼロ — DMではないので営業された感がない
- 専門家として立てる — 伸びしろを具体的に話すことで「この人は分かっている」が一瞬で成立する
複数人に送っているとバレた瞬間に冷める。一人に絞ることが絶対条件である。
運用の手順
- 先に一〜二回絡む — いきなり追加しても「誰?」で終わる。コメントと反応で認知を作る
- 本命一人を追加する — 送り終わったらリストから外し、次の本命に入れ替える。常に一人だけ
- ストーリーを配信 — 基本は一枚。名前を入れ、24時間限定と伝え、動画リンクを貼る
- 動画の中で語る — 掴み → 褒め → 改善点 → 実績の根拠 → サービス紹介 → CTAの順で運ぶ
- 翌日フォローDM — 「見てもらえましたか」の一通だけで取りこぼしが大きく減る
- すぐ面談に運ぶ — 反応が来た時点で温度は最大。冷める前に15〜30分をその場で押さえる
インバウンド発信|唯一、相手から来る
四つの型を回す。実績と失敗談を交互に置くのが効く。
| 型 | 例 | 生まれるもの |
|---|---|---|
| 実績 | フォロワーを三ヶ月で何倍にした | 信頼と実績の証明 |
| ノウハウ | 伸びるクリエイターの共通点三つ | 専門家としての位置 |
| 舞台裏 | 今日こんな作業をした | 親近感とリアリティ |
| 失敗談 | 最初のクライアントで失敗したこと | 人間くさい信頼感 |
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目安は週三〜四投稿、ストーリーは毎日。結果が出るまで三〜六ヶ月かかる。
即効性はない。だが獲得にかかる労力が減っていく唯一の経路である。 他の四経路は、送るのをやめた瞬間に止まる。この経路だけは積み上がる。
だから他の四つと並行して、今日から置いておく。始めない限り、いつまでも取りに行き続けることになる。
経路をどう組み合わせるか
五つを同時に全部やろうとすると、どれも中途半端になる。実績の段階で重心を変える。
| 段階 | 主力 | 並行して置くもの | 狙い |
|---|---|---|---|
| 実績ゼロ | 生徒ポジションDM + カスタムLoom | インバウンド発信を開始 | 量より確度。最初の一件を取る |
| 実績1〜2件 | 絡んでからDM + カスタムLoom | 紹介を依頼し始める | 帯を一段上げる |
| 実績3件以上 | エバーグリーンLoom で量を出す | 紹介・インバウンドが効き始める | 選べる状態を作る |
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⚠️ やりがちな失敗
- 実績ゼロでエバーグリーンLoomから始める。語る実績が無いので、中身が空になる。
- インバウンド発信を「実績ができてから」に後回しにする。三〜六ヶ月かかるので、始めるのが遅いほど効き始めるのも遅い。
- 経路を増やすことで量を出そうとする。増やすべきは経路の数ではなく、一つの経路の実行回数。
この章のチェックリスト
⚡ 第5部の通過チェック
- 獲得の五段階を順に言える
- 自分の実績段階に対して、狙うフォロワー帯を数字で言える
- 上限が競合で決まり、下限が母数で決まる理由を説明できる
- ファネル監査で見る三点を言える
- 自分のプロフィールに要る三点が揃っている
- カスタムLoomの五パートを、台本として書ける
- カスタムとエバーグリーンをいつ使い分けるか言える
- 五つの獲得経路を挙げ、いま自分が主力にすべきものを選べる
次章へ
ここまでで、相手を見つけて接触するところまでが決まった。 返信が来て、面談の日程が入った状態が次の出発点になる。
次章では、その面談で何を話すかを扱う。売り込まない商談の進め方、 実績がなくても成約できる理由、そして断る理由をなくす提案の形を見ていく。