クリエイターの事業|誰に、何を売るか
この章の狙い
要点: ここからはクリエイターの事業の話になる。顧客はクリエイターのフォロワーであり、設計するのは自分、実行するのはクリエイターである。最初に決めるのは「誰に」であり、これが決まらないと言葉も商品も価格も決まらない。
第7部までは自分の事業の話だった。ここから層が切り替わる。
扱うのはクリエイターの事業である。 顧客はクリエイターのフォロワーや受講生で、 売るのはクリエイターの商品になる。自分は設計する側に回る。
契約後の七ステップのうち、ステップ1(ICPの設計)と ステップ2(オファーの作成)が、この章の中身にあたる。
- 📘 ICP:Ideal Customer Profile。理想の顧客像。「この一人に売る」と決めた具体的な人物像。
ICPとは「この人だけに売る」一人
誰にでも刺さる言葉は、誰にも刺さらない。 第2部で見た原則を、ここで実際に使う。
ICPは「ターゲット層」ではない。名前のある、実在する一人である。
| ターゲット設定 | ICP | |
|---|---|---|
| 書き方 | 30代・女性・副業に興味あり | 田中さん(32歳)、メーカー勤務、副業3ヶ月目、月1万が限界 |
| 分かること | 属性だけ | 状況・感情・行動まで |
| 出てくる言葉 | 「多くの方のお悩みに」 | 「毎月末の口座残高を見るたびに焦っていた」 |
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なぜ具体化しないと終わるのか
ICPが曖昧なままだと、三つの症状が出る。
| 症状 | 何が起きているか |
|---|---|
| コピーが書けない | 誰に話しかけているか分からないので、当たり障りのない言葉になる |
| 商品が決まらない | 何を解決すればいいかが定まらず、機能を足し続けることになる |
| 価格が決められない | 相手の状況が見えないので、いくらなら払えるかが分からない |
この三つは全部、ICPの問題である。 コピーの技術でも、商品の質でもない。
逆に、ICPが決まると全部が決まる。 ICPのBeforeの言葉をそのまま使えばコピーになり、 Beforeが解決される形が商品になり、その解決に見合う額が価格になる。
クリエイター自身が、ICPの元になる
ここが、このやり方の最も効率的な点である。
クリエイターの過去(Before)が、そのままICPの現在である。
多くのクリエイターは、自分が通った道を教えている。 月1万円で止まっていた人が、月30万円になる方法を教えている。 だとすれば、買う人は「過去のクリエイター本人」と同じ状態にいる。
| 普通の顧客リサーチ | クリエイターN1アプローチ | |
|---|---|---|
| 誰に聞くか | 見込み客に調査する | クリエイター本人に聞く |
| かかる時間 | 数週間 | ヒアリング一回 |
| 精度 | 平均値になりやすい | 実在の一人の記憶がそのまま出る |
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だからオペレーターがやることは、クリエイターに過去の自分を語ってもらい、 それを設計書に落とすことになる。顧客リサーチが要らない。
⚠️ ここで間違えやすいこと
- 設計書はクリエイターに渡すためのものではない。オペレーター自身がビジネスに使うために埋める
- オペレーターが自分の解釈で埋めない。オペレーターはICPのN1ではないので、必ずズレる
- 「だいたいこんな感じ」で進めない。曖昧なまま埋めた設計書は、後の全工程を狂わせる
ICP設計書|六つのフィールド
設計書は六つの問いでできている。
⚡ ICP設計書の六フィールド
- 現在地 — 属性と状況。いま何をしていて、何が起きているか
- 痛みの構造 — 表層・感情・構造的帰結・痛みの場面の四層
- 止められない理由 — なぜ今まで動けなかったか。三種類
- トリガー — 何があったら動くか
- ゴール — 表のゴールと裏のゴール
- Negative ICP — 取ってはいけない顧客
六つとも、それぞれ使い場所が違う。埋めることが目的ではなく、 どこで使うかが決まっているから埋める。
① 現在地
クリエイターのBeforeと同じ状態にいる人物の、スペックと状況を書く。
| 項目 | 何を書くか | どこで使うか |
|---|---|---|
| 属性 | 年齢・職業・規模・環境 | 広告のオーディエンス設定、投稿のターゲティング |
| 状況 | 今の生活・仕事のリアルな場面 | コンテンツの「状況描写」の素材になる |
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「32歳、メーカー勤務、副業を始めて3ヶ月、月1万円で止まっている。平日は21時帰宅、週末に作業しようとして寝てしまう」——この解像度まで書く。
状況が具体的なほど、コンテンツの冒頭が書きやすくなる。
② 痛みの構造|四層で掘る
痛みは一層ではない。表層から順に、四つの層がある。
| 層 | 中身 | どこで使うか |
|---|---|---|
| 表層 | 口に出している悩み・不満の言葉 | フック・タイトル・サムネの文字 |
| 感情 | 自己否定・焦り・孤独など、内側の感情 | ストーリー・共感を作る投稿 |
| 構造的帰結 | 放置すると積み重なる損失(時間・機会・精神) | 危機感を作るコピー、CTAの手前 |
| 痛みの場面 | 痛みが最も強く出る具体的なシーン | リールの冒頭一行。最も強い素材 |
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深く掘るほど、コピーの精度が上がる。 表層だけで止めると、 どこにでもある言葉しか出てこない。
実際に掘るとこうなる
「副業で稼げない」(表層)から始めて、四層まで降ろす。
| 層 | 出てくる言葉 |
|---|---|
| 表層 | 「副業を始めたけど稼げない」 |
| 感情 | 「自分だけが取り残されている気がする。焦りと、少しの恥ずかしさ」 |
| 構造的帰結 | 「このまま一年続けても、時間だけ消えて何も残らない」 |
| 痛みの場面 | 「同期がフォロワー1万を超えた日、そっとアプリを閉じた」 |
四層目が最も強い。 これはそのままリールの一行目に使える。 「副業で稼げない方へ」と「同期がフォロワー1万を超えた日、そっとアプリを閉じた」では、 足の止まり方が違う。
感情レベルを掘る五つの問い
四層を埋めるための質問を持っておく。ヒアリングで使う。
⚡ 感情を掘る五つの問い
- いつ、いちばん強くそれを感じましたか — 場面を特定する
- そのとき、何を思いましたか — 感情を言語化させる
- 誰にも言えなかったことはありますか — 表に出ていない感情が出る
- このまま一年続いたら、どうなると思っていましたか — 構造的帰結が出る
- 何が、いちばん悔しかったですか — 動機の核が出る
質問したら、答えを言い換えずにそのまま書き取る。 「焦っていた」を「不安を感じていた」に直した時点で、言葉の力が落ちる。
③ 止められない理由
なぜ今まで動けなかったのか。三種類ある。
| 種類 | 中身 | どこで使うか |
|---|---|---|
| 変化への不安 | 新しい行動のリスクや失敗への恐れ | 反論処理を先回りした言葉。FAQ |
| 現状維持の慣性 | 「今のやり方で十分」という思い込み | 現状維持を肯定しつつ突破口を示す文 |
| 代替手段への誤った信頼 | 「もっと安い方法がある」「まだ自分でできる」 | 差別化。「〇〇を試したが合わなかった人へ」 |
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三つを先に言語化しておくと、反論が出る前に潰せる。 第3部で見た反論の五類型と対応していて、 「変化への不安」は恐怖、「代替手段への誤った信頼」は価格の類型に繋がりやすい。
④ トリガー
何があったら動くか。二つを書く。
| 項目 | 中身 | どこで使うか |
|---|---|---|
| 動いたきっかけ | いつ、何があって動こうと思ったか。具体的な出来事と感情 | CTA設計。動くタイミングと言葉を作る |
| 「もう限界」の瞬間 | 底・限界・諦めかけた瞬間の感情、状況、セリフ | コンテンツのつかみ。転換点として使う |
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二つ目が、フックとして最も強い。 痛みの場面(②の四層目)と合わせると、投稿の冒頭の素材が二つ揃う。
⑤ ゴール
Afterを、二層で書く。
| 層 | 中身 | どこで使うか |
|---|---|---|
| 表のゴール | 数字・具体的な変化で定義する。口に出せるゴール | ベネフィット訴求。LP・面談でのオファー提示 |
| 裏のゴール | 「どんな自分になれるか」というアイデンティティの変化 | 感情的なクロージングの締め |
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「月30万円稼ぐ」が表のゴールなら、 裏のゴールは「自分でも何かを作れる人間だと思えるようになる」になる。
人が最終的に買うのは、裏のゴールのほうである。 表のゴールは、それを説明するための数字にすぎない。
⑥ Negative ICP
- 📘 Negative ICP:取ってはいけない顧客。痛みは同じでも、動機が違うために合わない層。
これを書く理由は二つある。
一つ目。ミスマッチを防ぐ。 合わない人が入ると、満足度が下がり、 サポートの負荷が上がり、悪い評判が残る。
二つ目。逆説的に、ICPの確信が高まる。 「こんな方は対象外です」と明示されていると、 当てはまらなかった人は「自分向けのサービスだ」と感じる。
| 項目 | 中身 | どこで使うか |
|---|---|---|
| 取ってはいけない顧客の属性 | 属性・状況・動機の特徴 | LP・登録ページの除外文言 |
| なぜ取ってはいけないか | 痛みは同じでも合わない理由 | 信頼構築。選ばれている感覚を作る |
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「楽して稼ぎたい方には向いていません。週に最低5時間の作業時間が取れる方だけお願いします」 ——除外することで、残った人の確信が上がる。
設計書を三回のヒアリングで埋める
一度で全部を聞こうとすると、相手が疲れて答えが浅くなる。三回に分ける。
| 回 | 埋めるフィールド | 狙い |
|---|---|---|
| 1回目 | ① 現在地、② 痛みの構造 | 届ける相手と、共感の素材を作る |
| 2回目 | ③ 止められない理由、④ トリガー | 動かすための素材を作る |
| 3回目 | ⑤ ゴール、⑥ Negative ICP | クロージングとガードの素材を作る |
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一回30〜45分を目安にする。三回とも録音して、後から言葉を拾えるようにしておく。
これが第7部で見た「二週目に成果物を一つ渡す」の中身になる。 設計書はクライアントにとって目に見える成果物なので、進んでいる実感を作る役にも立つ。
良いICPと悪いICP
書き上がったら、判定する。基準は三つある。
| 基準 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 名指しできるか | 副業に興味がある人 | 副業3ヶ月目、月1万で止まっている会社員 |
| 場面が浮かぶか | 忙しい人 | 21時に帰宅して、週末に作業しようとして寝てしまう人 |
| 動機が一つに絞れているか | 稼ぎたい人 | 今の会社を三年以内に辞めたい人 |
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三つ目が最も忘れられる。 同じ「稼ぎたい」でも、 辞めたいのか、副収入が欲しいのか、独立したいのかで、刺さる言葉がまったく違う。
ジャンル別の書き換え例
| ジャンル | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| SNS運用 | SNSを伸ばしたい人 | フォロワー3,000人で止まり、投稿が義務になっている個人事業主 |
| 副業 | 副業で稼ぎたい人 | 残業代が減って手取りが下がった、30代の会社員 |
| ダイエット | 痩せたい人 | 産後1年、以前の服が入らないことに気づいた30代 |
| 英語学習 | 英語ができるようになりたい人 | 海外案件を任されたが、会議で発言できずにいる社会人 |
| コーチング | 自分を変えたい人 | 独立して2年、売上が上下して不安が消えない人 |
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どこまで削るかの目安は、「この説明を読んで、当てはまらない人がはっきり分かるか」である。 全員が「自分かも」と思う説明は、絞れていない。
コピーストーキング|言葉を集める
設計書ができたら、次は言葉を集める工程に入る。
- 📘 コピーストーキング:競合のページ、口コミ、レビュー、SNSから、ICP自身が実際に使った言葉を収集する手法。
第2部で見たとおり、コピーは書くのではなく借りる。 設計書のヒアリングだけでは、クリエイターが言語化できていない言葉が取れない。 だから外から集める。
どこから集めるか
| 集める場所 | 取れる情報 |
|---|---|
| 競合のページ | 使われている表現、ベネフィットの訴求、オファーの構造 |
| 口コミ・レビュー | ICP自身の言葉、よく使う表現、感情の描写 |
| SNS検索 | ハッシュタグやコメント欄の実際の言葉 |
| Q&Aサイト | 解決できていない問い。潜在的な悩みの言語化 |
| 書籍のレビュー | 買った理由、期待、失望。Before と After の言葉 |
| 動画のコメント欄 | 反応した層の感情、刺さったポイント |
| 検索のサジェスト | よく検索される不安と欲求 |
| 求人・転職サイト | 「今の仕事の何が不満か」。痛みの直接的なソース |
| 体験談のブログ | 行動前後の心理変化、具体的なエピソード |
| 競合のコメント欄 | ICPが競合に何を聞いているか |
十箇所を全部やる必要はないが、三箇所以上から集めると偏りが減る。
AIに任せる三ステップ
集める作業そのものはAIに任せられる。手順は三段階になる。
- リサーチ — 上の場所から、ICPが実際に使った言葉を収集する
- 収集と展開 — 集めた言葉を五軸(感情・状況・NG行動・障壁・欲求)に分類し、まだ誰も使っていない切り口を特定する
- アウトプット — 使える言葉のリストと、使ってはいけない言葉のリストを出す
要約させない。 言葉はそのままの形で集める。 要約した時点で、その言葉が持っていた具体性が消える。
⚠️ AIに任せるときに気をつけること
- 出てきた言葉をそのまま使わない。設計書と照らして、ICPと合っているか確認する
- 使い古された表現が混じっていないか見る。第2部で挙げたリストと照合する
- 中身を理解していないと、この確認ができない。 だから原理を学ぶ必要がある
ワードバンク|言葉の貯金箱
- 📘 ワードバンク:集めた言葉を分類して保存したもの。コピーを書くときに、ここから選ぶ。
集めた言葉は、九つのカテゴリに分けて保存する。
⚡ ワードバンクの九カテゴリ
- 悩み・状況 — 表層の言葉
- 感情 — 内側で感じていること
- 場面(シーン) — 痛みが最も強く出る瞬間
- 変化への抵抗 — 動けない理由
- 構造的帰結 — 放置した場合に積み重なるもの
- 転換・気づき — 考え方が変わった瞬間の言葉
- ゴール — 望んでいる状態
- トリガー・CTA — 動くきっかけと、行動を促す言葉
- 空白地帯 — 競合が誰も使っていない切り口
九つとも、ICP設計書のフィールドと対応している。 だから設計書が先で、ワードバンクが後になる。
使ってはいけない言葉も、リストにする
集めるのは「使える言葉」だけではない。避けるべき言葉も同時にリスト化する。
第2部で挙げた使い古された表現に加えて、 そのジャンルで飽和している言葉を書き出しておく。 新しく作るときに、このリストと照合する習慣を作る。
運用のしかた
作って終わりにしない。貯める・使う・更新するのサイクルで回す。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 保存する | クライアントごとにフォルダを分け、ICP設計書と同じ場所に置く |
| 参照する | 投稿・LP・CTAを書くとき、先にワードバンクを開く。自分の言葉より先にICPの言葉を探す |
| 逆引きする | 伸びた投稿に使った言葉を特定して追加する。伸びる言葉を学習させていく |
| 更新する | 三ヶ月に一回、リサーチをやり直す。飽和した言葉を入れ替える |
三ヶ月ごとの更新が効く。 市場は変化するので、 半年前に効いていた言葉が、いまは飽和していることがある。
オファーは、一文で言い切る
- 📘 オファー:誰に・何を・どんな結果を・いつまでに提供するかまで設計された商品の形。スキルそのものはオファーではない。
スキルがある=売れる、は間違いである。
| スキルだけで売ろうとする | オファーを設計してから売る | |
|---|---|---|
| 言い方 | 「SNS運用できます。月5万円でどうですか」 | 「三ヶ月で登録者1,000人を獲得するプログラム」 |
| 「動画編集・構成・投稿、なんでもやります」 | 「発信ゼロから月30万を目指す90日サポート」 | |
| 相手の判断 | 高いか安いかしか分からない | 結果と期間で判断できる |
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スキルは材料である。オファーは商品である。
十秒で言えないオファーは、固まっていない
判定基準は簡単で、一文で言い切れるかどうかである。
「この商品は〇〇に関するものです。〇〇な人の力になります。〇〇という方法を伝え、〇〇までに〇〇を約束します。実際に〇〇という実績があります。」
この形に流し込めない場合、どこかが決まっていない。
価値の方程式
オファーの価値は、四つの要素で決まる。
価値は、「理想の結果 × 達成できる確信」を「達成までの時間 × 努力・犠牲」で割ったものになる。
| 要素 | 意味 | 動かす方向 |
|---|---|---|
| 理想の結果 | 顧客が最終的に手に入れたいもの | 大きくする |
| 達成できる確信 | 本当に自分でもできると思えるか | 高める |
| 達成までの時間 | 短いほど価値が上がる | 短くする |
| 努力・犠牲 | 大変さが少ないほど価値が上がる | 減らす |
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価格を上げたいなら、四つのどれかを動かす。 「値上げしたい」という相談が来たとき、この四つのどれを動かすかで答える。 根拠なく値段だけ上げても、売れなくなるだけである。
五つの質問で埋める
四つの要素は、五つの質問に答えると全部埋まる。
⚡ オファー設計の五つの質問
- メイントピックは何か — 商品の核。→ 理想の結果
- 理想の見込み客は誰か — ICPそのもの
- 独自の解決策・ノウハウは何か — → 確信を上げ、努力を下げる
- 約束する変化は何か — → 結果を上げ、時間を短くする
- 証拠となる実績は何か — → 確信を大きく上げる
五つに答えたら、そのまま一文に流し込む。それがオファー文になる。
価格モデルは三つ、危険なのは中央
| 帯 | 特徴 | 成立条件 |
|---|---|---|
| 低単価 | 数を売る。集客コストが命 | 圧倒的な母数か、自動化された仕組み |
| 中単価 | 最も潰れやすい | ほぼ無い |
| 高単価 | 少数に深く提供する | 信頼と成果の証明 |
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なぜ中単価が潰れるのか
低単価の手軽さもなく、高単価の手厚さもないからだ。
3万円の講座は、「まあ試すか」と言うには高く、 「本気でやるか」と言うには軽い。結果として、どちらの動機にも届かない。
そして提供側から見ても中途半端になる。 一人あたりの利益は小さいのに、サポートは必要になる。数も出ない。
なぜ個人は高単価なのか
個人には、母数を作る力がない。だから単価で成立させるしかない。
10万円 × 5人 = 50万円と、1万円 × 50人 = 50万円。 同じ金額でも、集客のコストも対応のコストも桁が違う。
少人数に深く提供するほうが、個人には現実的である。
価格の決め方
ここで、二つの原本が違う方法を示している。両方を使い分ける。
年間の価値から逆算する
- 📘 アンカリング:先に示された数字が基準になり、後の数字の感じ方を左右する心理。
まず、価格の根拠を作る方法から。
時給で考えるのではなく、顧客にもたらす年間の価値の10〜20%を価格にする。
| 考え方 | 計算 | 出る価格 |
|---|---|---|
| 時給思考 | 稼働時間 × 時給 | 「月5万円でいかがですか」→ 年間60万円に見えて安く見える |
| 価値思考 | 顧客への年間価値 × 10〜20% | 「年間360万円の価値を、三ヶ月30〜50万円で」 |
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月30万円を稼げるようになるなら、年間で360万円の価値になる。 その10〜20%が36〜72万円。三ヶ月のプログラムで30〜50万円という価格が、ここから出る。
月額思考を捨てて、期間投資で考える。 「月5万」と言った瞬間に、相手は月々の支出として比較を始める。 「三ヶ月で30万」なら、投資として比較する。
見せ方で価格の感じ方を変える
根拠が決まったら、次は見せ方である。
| 手法 | 例 | 効く理由 |
|---|---|---|
| 通常価格→割引 | 通常30万→今回10万 | 最も基本的なお得感の作り方 |
| 高額プランを先に見せる | 50万→30万→10万の順で提示 | 10万が安く見える |
| 分割で見せる | 30万円ではなく月1万円×30回 | 心理的なハードルを下げる |
| 価値を分解する | 動画20本(各5万円相当)+個別コンサル(10万円相当) | 100万円相当を30万円で、と積み上げる |
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「いきなり10万円です」は高いと感じ、「通常30万円→今回10万円」は安いと感じる。 まったく同じ10万円なのに感じ方が変わる。理由は明確で、人は適正価格を知らないからだ。
根拠(年間価値)と見せ方(アンカリング)は、両方要る。 根拠がないと値引きの繰り返しになり、見せ方がないと高く感じられて終わる。
痛みが、金を動かす
人は「活動」に金を払っているのではない。痛みの解消に払っている。
ジムに払っているのは運動する権利ではなく、 「鏡を見るのが嫌」という状態からの脱出である。
だから商品説明は、機能の一覧ではなく、変化のストーリーで書く。
| 機能一覧 | 変化のストーリー | |
|---|---|---|
| 書き方 | 動画20本、テンプレート10種、月2回の面談 | 発信が義務だった状態から、三ヶ月後に問い合わせが来る状態へ |
| 相手の反応 | 「量が多いな」 | 「自分もそうなりたい」 |
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痛みが深いほど、価格は高くできる。 痛みの深さを測るのが、ICP設計書の②(痛みの構造)である。ここで四層まで掘る意味がここにある。
保証は「返す約束」ではなく「届ける約束」
返金保証は、実は弱い。「ダメだったら返します」は、 ダメになる可能性を自分から示していることになる。
代わりに置くのは結果保証である。
| 返金保証 | 結果保証 | |
|---|---|---|
| 言い方 | 効果がなければ全額返金します | 三ヶ月で結果が出なければ、出るまで無料で続けます |
| 伝わるもの | 失敗の可能性 | 結果への確信 |
| 相手の判断 | 損はしない、と考える | この人は本気だ、と感じる |
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⚠️ 保証で気をつけること
- 実行できない保証は置かない。守れないと、信頼が一度で消える
- 条件を書いておく。「課題を全部提出した方に限る」など、相手側の前提も明記する
- 保証を売りの中心にしない。保証が主役になると、商品そのものが弱く見える
既存顧客の価格は、上げない
値上げをするとき、既存の顧客は据え置く。
理由は、既存顧客が「早く始めたことで損をした」と感じると、 その瞬間に関係が壊れるからだ。
新規から値上げし、既存には「開始時の価格を継続します」と伝える。 これは損ではなく、最も安い信頼の作り方になる。 据え置かれた顧客は、その事実を人に話す。第5部で見た紹介は、こういう場所から生まれる。
一本通してから、三択にする
第2部で見た「三択の真ん中が選ばれる」を、ここで使う。ただし順番がある。
実績がない段階で三つのプランを並べても、どれも売れない。 まず一つの商品を、一人に対して最後まで通しきる。
一本通ると、次の三つが手に入る。 どこで詰まるかの実感、成果の証拠、そして「どこまでやれば結果が出るか」の基準。
三択にするのは、その後でよい。 選ばせる前に、一つを完成させる。
この章のチェックリスト
⚡ 第8部の通過チェック
- ICPが曖昧なときに出る三つの症状を言える
- クリエイター本人のBeforeがICPの現在になる理由を説明できる
- 設計書の六フィールドを言える
- 痛みの四層を順に言え、どの層が最も強い素材か分かる
- 感情を掘る五つの問いを言える
- 止められない理由の三種類を言える
- 表のゴールと裏のゴールの違いを説明できる
- Negative ICPを書く二つの理由を言える
- 良いICPの判定基準を三つ言える
- コピーストーキングでどこから言葉を集めるか、三つ以上言える
- ワードバンクの九カテゴリを言える
- ワードバンクの運用サイクル四つを言える
- スキルとオファーの違いを説明できる
- 価値の方程式の四要素と、動かす方向を言える
- オファー設計の五つの質問を言える
- 中単価が潰れる理由を説明できる
- 年間価値から価格を出す計算ができる
- アンカリングの四手法を言える
- 返金保証より結果保証が強い理由を説明できる
- 既存顧客の価格を据え置く理由を説明できる
次章へ
誰に、何を、いくらで売るかが決まった。だが、まだ誰もそれを知らない。
次章では、その商品を知ってもらう工程に入る。 どの媒体で、何を、どの比率で出すのか。集める設計である。